当法人心が選ばれる理由とは
おかげさまで交通事故のご依頼を数多くいただいております。多くの方に選んでいただける理由の一部をこちらで紹介しておりますので,どうぞ一度ご覧ください。
ご利用に便利な事務所です
交通事故のお悩みであれば,事務所にお越しいただいてのご相談と電話相談の両方に対応させていただきます。岡崎にお住まいの方もお気軽にご相談ください。
交通事故で車が全損になった場合の賠償金―買替諸費用の請求を忘れずに!―
1 車が全損になった場合は買替諸費用も請求しましょう
交通事故に遭って自動車が全損となった場合に、被害者の方の利益状態を交通事故に遭う前の状況に戻すためには、事故車両と同等程度の車両本体価格(事故車両の時価額・市場価額)だけでなく、その車両を購入するにあたって通常必要となる諸費用も賠償される必要があります。
保険会社から事故車両の時価額のみを受け取って、買替諸費用は受け取っていないという方も多く見られますので、買替諸費用の請求を忘れないようにしましょう。
2 賠償の対象となる買替諸費用
⑴ 消費税
自動車を購入する際に支払う必要のある消費税は、車両の取得に付随して通常必要となる費用のため、賠償の対象となります。
⑵ 自動車取得税
自動車取得税は、取得価額が50万円を超える場合に課される税金であり、自動車の取得に通常必要となる費用として、賠償の対象となるとされてきました(なお、自動車取得税は、令和元年9月30日をもって廃止されています。)。
⑶ 環境性能割
環境性能割は、自動車取得税に代わって、令和元年10月1日から導入された税金で、自動車の燃費性能に応じて課税されることになります。
環境性能割も、自動車の取得に通常必要となる費用として、賠償の対象となるとされています。
⑷ 自動車重量税
自動車重量税は、車検証の有効期間の未経過分に相当する部分については、原則として、賠償の対象となると考えられています。
ただし、自動車リサイクル法(正式名称は「使用済自動車の再資源化等に関する法律」と言います。)に基づいて自動車重量税が還付されている場合は、還付された分は賠償の対象とはなりません(参考リンク:e-Gov法令検索・使用済自動車の再資源化等に関する法律)。
⑸ 法定費用(登録費用、車庫証明費用、廃車費用)
これらの法定費用は、車両の取得の際に必要な費用のため、賠償の対象になると考えられています。
⑹ 手続代行費用(登録手続代行費用、車庫証明手続代行費用、納車費用)
新たに購入した車両の登録手続や車庫証明手続等については、購入者自身で行うことができる手続ですが、購入者が販売店にこれらの手続の代行を依頼していることが多いというのが実情です。
そのため、これらの手続代行費用については、相当な費用であると言える範囲において賠償が認められる傾向があります。
⑺ リサイクル料金
リサイクル料金は自動車リサイクル法によって自動車購入時に支払うことが定められている費用ですので、賠償の対象となると考えられています。
3 賠償の対象とならない買替諸費用
⑴ 自動車税
自動車税は、還付制度(=税金が返ってくる制度)がありますので、原則として賠償の対象にはなりません。
なお、「軽」自動車税には還付制度がないため、普通車の場合と混同しないように注意が必要です(参考リンク:岡崎市・軽自動車税)。
⑵ 自賠責保険料
自賠責保険料についても、還付制度がありますので、原則として賠償の対象とはなりません。
交通事故について弁護士を探す際のポイント
1 交通事故に遭ったら弁護士を探しましょう
交通事故の被害に遭ってしまったら、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
ご自身で解決をすることができれば一番良いですが、保険会社への対応や各書類の整理、提出、場合によっては裁判対応となると、一般的には対応に苦慮されるかと思いますので、まずは、弁護士を探してご相談ください。
ところで、弁護士の探し方を知りたいというご要望を耳にすることがあります。
そこで、今回は交通事故に遭った際の弁護士の探し方についてご説明します。
2 交通事故について弁護士を探す際のポイント
まずは、ご自身が相談したい分野を得意としているかどうかを調べてください。
弁護士は、すべての法律に精通するわけではありませんので、得意分野もあればそうでない分野もあります。
交通事故の相談をする場合には、交通事故案件を得意としている弁護士に相談をするのがよいです。
弁護士がどのような案件を得意としているかは、事務所のホームページやポータルサイトなどに記載されていることが多いので、これらを確認してみてください。
3 弁護士法人心へご相談ください。
当法人は、交通事故を得意とする弁護士らからなる交通事故チームが日々業務に励んでおります。
交通事故チームには、元保険会社側の弁護士や元裁判官の弁護士、損害保険料率機構(自賠責調査事務所)の元職員、大手損害保険代理店OBが在籍し、また、交通事故に詳しい整形外科医を顧問医とするなど、さまざまな角度から、依頼者の最大の利益を考えて行動しています。
また、当法人は、ご希望されるお客様に対しては、電話でのご相談や、平日夜間のご相談、土日祝日でのご相談を承っております。
交通事故の被害に遭ってしまい、弁護士探しでお悩みの際には、ぜひ一度、当法人までお気軽にご相談ください。
事故で損傷した箇所以外も含めた全塗装費用の賠償請求
1 問題の所在
修理の一環として塗装を要する場合、車両所有者等が、塗装を行う修理箇所と塗装を行わない非修理箇所との間で色ムラが生じるのを避けるために、修理箇所を超えて車両全体の塗装(全塗装)を希望する場合があります。
このような場合において、全塗装に要する費用が損害賠償の対象となるかについて争われることが珍しくありません。
2 裁判例の考え方
全塗装費用の賠償請求は、修理費用の問題と捉えることができます。
修理費用については、必要かつ相当な範囲の費用が賠償の対象となります。
塗装の範囲についても、必要かつ相当な範囲の限度で認められるため、車両全体を塗装しなければならない合理的な理由がない限り、部分塗装が原則となるとの考え方のようです。
すなわち、全塗装については、特段の事情が認められない限り、賠償の対象とならないと思われます。
3 全塗装が認められるケース
以下のようなケースでは、全塗装の賠償が認められる可能性があります。
- ⑴ 特殊な塗装技術を施しているため部分塗装では他の部分との相違が明白となって美観を害する場合
- ⑵ 車両自体が高価なもので車両の価値の大部分が外観にかかっている場合
- ⑶ 再塗装の範囲が広いため全塗装する場合と比較して費用に大きな差異を生じない場合
- ⑷ 塗装・下地の腐食の原因となるバッテリー液が広範囲に飛散したため、全塗装が必要となる場合
- ⑸ 特殊塗装のために部分塗装では色合わせが困難である事情があった場合
4 塗装の範囲の注意点
車の所有者からすると、車両の外観を左右する塗装の範囲は重大なポイントになることは少なくありません。
しかしながら、賠償の対象となる塗装の範囲については車両所有者の主観的事情ではなく客観的な事情に基づいて判断されますので、注意が必要です。
そのため、塗装の範囲については、修理担当者などの専門家の意見書などが必要となるケースも想定されるところです。
交通事故の物的損害の賠償方法
1 同一事故の当事者双方に過失がある場合の交通事故の物的損害の賠償方法
同一事故の交通事故により当事者双方に過失がある場合、当事者双方が互いに相手方に対して修理費用等の賠償義務を負うことになります。
このような事案での賠償方法については、①クロス払い(当事者双方の合意に基づき互いの賠償額を各当事者に対して支払うという処理方法)、②相殺払い(互いの損害賠償債務を相殺したうえで、残額の支払いを行うという処理方法)があります。
2 賠償方法が問題になる場面
当事者双方に過失がある場合、当事者双方は相手方から完全な賠償を受けることができないため、損害の一部について自己負担が発生してしまうばかりでなく、相手方の損害についても賠償義務が発生してしまいます。
このような事案では、等級ダウンによる保険料の増額を伴う対物賠償保険の利用をするかどうかと関連して、クロス払いと相殺払いのどちらの賠償方法を選択するかが重要になります。
⑴ クロス払いのメリット・デメリット
クロス払いは、互いの賠償額を各当事者に対して支払う方法です。
クロス払いのメリットは、自身の損害について、相手方の過失割合相当額を、相手方から賠償してもらうことができる点です。
他方、デメリットとしては、相手方の損害について、自身の過失割合相当額を、相手方に賠償しなければならない点が指摘されています。
そこで、クロス払いを行う場合、相手方の損害への賠償については、自動車保険の対物賠償保険を利用することが多いです。
⑵ 相殺払いのメリット・デメリット
相殺払いは、互いの損害賠償債務を相殺したうえで、残額の支払いを行うという方法です。
相殺払いのメリットは、相殺処理によって、相手方への現実の弁済額を減縮することができる点です。
他方、デメリットとしては、相手方からの現実の弁済額も減額されるないし消滅される可能性がある点です。
相殺払いは、当事者双方が自動車保険の対物賠償保険を利用しないことが多いです。
なお、令和2年4月1日に施行された改正民法によっても、相殺払いが禁止される場合がある点については、注意が必要です。
交通事故による傷病を理由とした解雇
1 交通事故による傷病が理由で解雇される?
会社の就業規則には、労働者の私傷病による欠勤が一定期間以上にわたる場合に、これを休職扱いとし、休職期間が満了した時点でも復職が不可能なときには解雇するというような内容の規定があることが少なくありません。
そのため、「交通事故による傷病の治療のために長期間休業すると会社から解雇されてしまわないだろうか?」と不安に思われる方もいらっしゃるかと思います。
そこで、以下では、交通事故による傷病を理由とする解雇について、交通事故が「業務中」に発生した場合と、「通勤中」に発生した場合に分けてご説明いたします。
2 業務中の交通事故の場合
業務中の事故による休業の場合、原則として、その休業期間及びその後の30日間は解雇されません(労働基準法第19条)。
そのため、これに違反してなされた解雇は無効となります。
また、療養のための休業期間後に30日が経過したとしても、会社が従業員を解雇するためには、解雇に客観的に合理的な理由があり、かつ、解雇が社会通念上相当なものであると評価できるものでなくてはならないとされています(これを「解雇権濫用法理」(労働契約法第16条)と言います。)。
例えば、従業員が休業期間明けに速やかに元の業務に復帰することができなかったとしても、まずは軽易な業務から復帰し、徐々に元の業務に就くことができるようになる見込みがある場合、当該従業員に対する解雇は、客観的に合理的な理由があり、かつ、社会通念上相当なものと言えるかどうかに疑義が残りますので、「解雇権濫用法理」により無効となる可能性があります。
3 通勤中の交通事故の場合
通勤中の事故の場合は、業務中の事故の場合と異なり、労働基準法第19条の適用はありません。
もっとも、通勤中の事故の場合であっても、「解雇権濫用法理」の適用はありますので、解雇が客観的に合理的な理由を欠くものであったり、社会通念上相当なものでなかったりすれば、無効となります。
交通事故に強い弁護士の選び方
1 弁護士は万能ではない
弁護士が万能ではないというのは、当たり前のことです。
法分野は範囲が大変広く、すべてを網羅的に扱うことは非常に困難ですし、全分野を浅く知っている弁護士よりも、特定の分野を深く知っている弁護士の方が依頼者の力になれることも多いのではないでしょうか。
つまり、弁護士であっても、得意とする分野もあれば、経験が少ない分野もあるため、依頼しようとする弁護士がその案件を得意としているのかどうかということは注意しておく必要があります。
2 交通事故に強い弁護士に相談するべき
交通事故は、過失割合、休業損害、保険会社への対応、後遺障害の認定など、依頼者にとって重要な関心事になる事項が多く、本当に詳しい弁護士に依頼をしなければ、依頼者自身が損をしてしまうおそれすらあります。
3 弁護士の選び方
弁護士事務所のホームページを見て、交通事故に力を入れている事務所なのかどうかを判断することができます。
例えば、交通事故に力を入れている事務所であればやはり交通事故の取扱件数は多くなっているでしょうし、解決実績も豊富にあるのではないでしょうか。
そのような情報を見て、自分が安心して依頼をすることができるかどうかを判断することも大切であるといえます。
4 交通事故のご相談は弁護士法人心へ
当法人では、交通事故を集中的に取り扱う弁護士が多数在籍しており、少しでも依頼者の利益になるように日々研鑽を積みながら業務に取り組んでいます。
交通事故案件の取扱い件数、解決実績も豊富にあり、交通事故についての膨大な知識、ノウハウを蓄積しています。
また、弁護士、スタッフ一同、丁寧な対応を心がけており、安心してご相談、ご依頼いただけるような環境つくりに励んでおります。
岡崎近郊にお住まいで、交通事故に関係する問題でお悩みを抱えていらっしゃる際には、当法人までお気軽にご相談ください。
家事労働の休業損害・逸失利益の基礎収入
1 家事労働に対する休業損害・逸失利益が支払われます
家事従事者による家事労働については、対価として金銭の授受が行われないため、休業損害や逸失利益が発生しないのではないかと思われる方もいるかもしれません。
しかし、裁判実務では、家事従事者による家事労働に対する休業損害や逸失利益が認められることに争いはありません。
これは、家事労働を家族以外の他人に依頼する場合には金銭の対価を支払わなければならないところ家事従事者による家事労働によってそのような支出を免れていること、また、金銭の授受がないのは夫婦相互など家庭内の人間関係という特殊事情があるためにすぎず対価として金銭の授受が行われないことは休業損害や逸失利益を否定する根拠にならないといった説明がされています(最判昭和49年7月19日民集28巻5号872頁)。
2 家事労働の基礎収入
家事労働に専念する妻の家事労働の基礎収入について争われた最判昭和49年7月19日民集28巻5号872頁では、家事労働の基礎収入(金銭評価)については、女性労働者の平均的賃金に相当する金額をもって基礎収入とする旨の判断を示しています。
これを踏まえて、裁判実務では、専業主婦の場合は、賃金センサスの女子学歴計全年齢平均賃金を基礎収入とすることが多いです。
また、主として家事労働に従事しながらパートタイマーを行うなどして就労収入を得ている場合にも、賃金センサスの女子学歴計全年齢平均賃金を下回る収入の場合には、賃金センサスの女子学歴計全年齢平均賃金を基礎収入として家事労働の休業損害や逸失利益を認めるケースも少なくありません。
3 家事労働の休業損害や逸失利益が厳格に判断されるないし否定される事例
上述の見解がある一方で、被害者の年齢、家族構成、身体状況及び家事労働の内容等に照らして、その家事労働が平均賃金に相当する金銭評価を認めることができない場合には、賃金センサスの金額から一定程度減額された金額を基礎収入とするケースも散見されています。
共働き世帯が増えており、証拠によって認定される就労状況や時間、家事労働の内容等に照らして、家事労働の休業損害や逸失利益ではなく、あくまで現実労働の休業損害や逸失利益のみが認められるというケースもあります。
このように、様々なケースが想定されますので、家事労働については、交通事故に詳しい弁護士に相談して、適切な解決を図るべきです。
入通院慰謝料に関する裁判基準の運用例
1 入通院慰謝料に関する裁判基準の運用
入通院慰謝料は、事故日から治療期間の終期(症状固定日ないし治癒日)までの期間に対応する、交通事故の受傷による被害者の精神的苦痛について、賠償する損害項目です。
慰謝料は、被害者の精神的苦痛というその性質上、被害者の個別具体的な事情に応じて算定するべき側面があるのは否定できません。
しかし、その一方で、交通事故実務では、大量の交通事故の迅速処理や恣意性の排除といった観点から、慰謝料の定型化ないし定額化が図られ、かかる基準によって慰謝料が定型的に算定されているのが現状です。
2 入通院慰謝料に関する裁判基準の代表例
入通院慰謝料に関する裁判基準として代表的なものは、傷害内容・程度と入通院期間に基づいて慰謝料を算定する、いわゆる「青本」や「赤い本」の算定基準が挙げられます。
「青本」と「赤い本」は、傷害の内容・程度と入通院期間に基づいて慰謝料を算定するという点では同じ基準です。
他方で、大きな違いは、「青本」は上限基準から下限基準と比較的金額に幅が設けられているのに対し、「赤い本」は算定基準に上下限の幅がなくただ単に別表Ⅰ及び別表Ⅱの基準があるにすぎません。
3 裁判実務での「青本」と「赤い本」の使われ方
現在の裁判実務において、「青本」と「赤い本」のいずれが妥当な金額か、あるいは、どちらの基準が優先的に採用されているかについては、必ずしも明らかではありません。
裁判実務の運用を見る限り、個々の裁判官が、両方の基準を参照しながら、事案に応じて使い分けているというのが実態のようにも思われます。
4 示談交渉における裁判基準の使い方
加害者側任意保険会社との示談交渉においても、裁判基準を参考に慰謝料が算定されることは珍しくありません。
「青本」と「赤い本」のいずれが採用されているかについては、岡崎市を含む愛知県内では「赤い本」を参考にされることが比較的多いようにも思われますが、統計上のデータがあるわけではありませんので、結局のところケースバイケースであるのが現状です。
5 慰謝料の示談交渉は交通事故に詳しい弁護士に相談を
加害者側任意保険会社は、示談交渉の段階では、裁判基準による慰謝料を認めない、あるいは、裁判基準を参考にするとしても裁判基準の満額ではなく裁判基準の8割前後が妥当であると主張するケースが多いです。
そのため、加害者側任意保険会社の慰謝料の提示金額を鵜呑みにせず、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
近親者による入院付添費用
1 入院付添費用の内容
交通事故のケガで入院した場合、ご家族の方等に付添いをしてもらうこともあるかと思います。
このようなケースでは、入院に付き添ったことで生じる損害について、賠償請求することができる場合があります。
入院付添費で問題になるのは、被害者の入院期間中、被害者に対して近親者が付き添った場合に、損害をどのように算定するのかという点です。
近親者が付添いをする場合、近親者は被害者のために仕事を休業せざるを得ず、また、付添費用の日額も高額であることから、付添いの必要性や付添費用の日額などについて保険会社との間で争いが生じることが珍しくありません。
ここでは、近親者による入院付添費用について、ご説明いたします。
2 付添いの必要性
入院付添費用は、付添いをしたという事実だけではなく、付添いの必要性が認められなければなりません。
付添いの必要性は、医師の指示、あるいは受傷の部位、程度、被害者の年齢などから判断されます(赤い本上巻参照)。
例えば、重傷の場合や、被害者が幼児等であったりしたときには、近親者の付添いの必要性が認められやすいといえます。
一方で、高度医療機関など病院の入院環境が整っている場合には、近親者の付添いの必要性が認められないと判断されることもあります。
3 付添費用の日額
近親者付添費用は、赤い本が日額6500円、青本が1日5500円から7000円となっています。
ただし、赤い本には、症状の程度により、また、被害者が幼児、児童である場合には、1割~3割の範囲で増額を考慮することがあるとの記載もあり、実際の付添い内容に即した個別具体的な金額を算定することが求められています。
4 近親者の休業損害との関係
有職者がその仕事を休んで付添いを行った場合に、その休業損害額を考慮して付添費用を認定するべきかについては、見解に争いがあります。
有職の近親者の付添いの場合、実収入額を考慮して付添費用を算定することを認める見解、あるいは、原則として休業による損害と近親者の付添看護費用の比較に基づいて算定することを認める見解があります。
その一方で、近親者の休業損害はあくまで近親者の損害であり、被害者の損害であることが前提となる入院付添費用の考慮事情にはならないという見解も根強く主張されています。
このように、近親者が付き添った場合の損害賠償では様々な考え方がありますので、お困りの際は弁護士にご相談ください。
過失割合の決定方法
1 過失割合の判断基準
交通事故賠償実務において、過失割合は、東京地裁民事交通訴訟研究会編『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準』(いわゆる別冊判タ基準)や公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準』(いわゆる赤い本)を参考にして判断されることが多いです。
いずれの基準も、基本となる過失割合(基本過失割合)を定型的に決定した上で、斟酌されるべき個別具体的な事情に基づいて基本過失割合を修正していくという2段階の判断方法になっています。
2 基本過失割合
基本過失割合は、車種の別・交差点の有無・事故態様(直進車同士・直進車と右折車など)などの類型化された基準によって決定されます。
事故態様を類型化した上で、その事故態様として一般的に想定される基本的な過失割合を基準化したものが、基本過失割合です。
そのため、基本過失割合は、発生した事故が、当該基準が想定する事故態様として想定された事故である限り、定型的に決定されますので、個別具体的な事情は考慮されません。
3 修正要素
基本過失割合が決定された後、過失割合において考慮されるべき個別具体的な事情がある場合には、当該事情に基づいて過失割合を修正していきます。
別冊判タ基準や赤い本の過失割合の基準には、個別具体的な事情のうち、いかなる事情がある場合に過失割合を修正するべきかという観点から修正要素として考慮される事情が設けられています。
例えば、一方の当事者に、居眠り運転、飲酒運転、一定以上の速度違反、脇見運転等の著しい前方不注意、携帯電話を利用しながらの運転あるいはカーナビゲーションを触りながらの運転などの事情が認められる場合には、通常よりも不注意の程度が重いとして、当該当事者に不利なように過失割合が修正されます。
4 過失割合において考慮されないもの
過失割合は、事故の状況から判断されますので、当事者の受傷の有無・受傷内容・受傷の軽重は、過失割合に影響されません。
また、当て逃げ・ひき逃げなど事故後の行動それ自体は、過失割合に影響を及ぼす事情にはあたりません。
ただし、事故後の行動・態様から事故発生時の不注意を裏付けることができる場合には、事故後の態様が過失割合を決める間接的な事情として考慮される場合もあります。
5 人身届の提出やドライブレコーダーの設置が重要
過失割合の判断においては、刑事事件記録やドライブレコーダーなどの証拠資料の有無が重要となることも少なくありませんので、証拠の収集にも気を付ける必要があります。
6 過失割合の判断は交通事故に詳しい弁護士に相談を
過失割合については、別冊判タ基準や赤い本の基準を形式的に適用する保険会社や弁護士も少なくありませんが、事故態様によっては、これらの基準を形式的に適用することが適切ではない場合もあります。
そのため、適切な過失割合については、別冊判タ基準や赤い本の基準の適用範囲や裁判例に熟知した交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
症状固定後の治療費について
1 症状固定後の治療費は原則支払ってもらえない
賠償の対象となる治療関係費は、原則として、症状の改善効果が認められる時点の費用、すなわち症状固定日までの治療費に限られます。
その理由として、治療によっても症状の改善効果が認められない場合、その治療には効果が認められず、必要かつ相当な治療とは評価できないからという説明がされています。
そのため、症状固定後の治療費については、原則として、賠償の対象とならないため、被害者の負担となります。
2 例外的に症状固定後の治療費の支払いが認められる場合
症状固定後の治療費であっても、必要な治療であり金額が相当である場合には、例外的に、賠償の対象となることがあります。
例えば、外傷性クモ膜下出血や脊髄損傷などの重度後遺障害については、生命の維持あるいは症状悪化の防止のために治療を継続することがやむを得ない場合があり、このような治療費は症状固定後であっても賠償の対象となることがあります。
他方で、ムチウチなどの神経症状に対するリハビリテーション治療などについては、症状固定後の治療は症状ないし損害を悪化させないためのものとは考えにくいとして、賠償の対象とならないことが多いといわれています。
裁判例をみても、症状固定後の治療費が認定されている事案の大半は、重度後遺障害の事案のようです。
3 将来治療費
症状固定後の治療費の議論は、主に、賠償請求の時点で現実に支出した費用を念頭に議論されています。
もっとも、重度後遺障害などの事案において、将来支出が予想される手術費用や治療費が賠償の対象となる場合もあります。
この場合には、治療費の他に付き添い看護料、入院雑費、通院交通費も賠償の対象となる可能性があるため、注意が必要です。
4 症状固定後の治療費が認められない場合の対応方法
症状固定後の治療費が、賠償の対象となるかについては、被害者の症状、必要な治療内容などを個別具体的に検討する必要があります。
また、症状固定後の治療費が認められない場合でも、後遺障害の等級認定を受けることで適切な賠償を受けることができる場合もあります。
そのため、症状固定時に症状が残存した場合の賠償については、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
保険会社からの治療費の打ち切りで納得のいかない方へ
1 治療費の打ち切り
治療を続けているにもかかわらず、保険会社から、突然、治療費の打ち切りの連絡がきて、納得のいかない方もいらっしゃるかと思います。
こちらでは、治療費の打ち切りがされる理由とその対応方法について、説明いたします。
2 なぜ治療費の打ち切りがされるのか
治療費の打ち切りがされる理由は、法律上、保険会社は症状が完治するまで治療費を支払う必要がないとされているからです。
一般的に、保険会社は、被害者の症状が症状固定に至った場合、すなわち、「治療をもってしても、その効果が期待し得ない状態(治療の終了)で、かつ、残存する症状が、自然的経過によって到達すると認められる最終の状態に達したとき」(昭和50年9月30日付労働省(当時)労働基準局長通達(基発第565号))、それ以降の治療費の支払いを打ち切ってよいとされています。
症状固定は、医師の判断等を踏まえながら、法的に判断されるものです。
しかし、保険会社は、医師が治療の継続の必要を認めているにも関わらず、不当な時期に治療費の打ち切りをしてくることも珍しくありません。
3 まずは打ち切りの延長交渉を
保険会社から打ち切りがされる場合、事前に、保険会社から被害者に対して打ち切りの連絡がくることが多いです。
保険会社から打ち切りの連絡がきた場合、主治医に治療の継続による症状の改善の見込みを確認するなどして、保険会社と打ち切りの延長について交渉をすることが考えられます
ご自身で保険会社に対して交渉することが難しい場合、弁護士に打ち切りの延長交渉を依頼するのも一つです。
4 相談は打ち切りがあってからでも遅くありません
保険会社が打ち切りの延長交渉に応じない場合、あるいは、打ち切りをした後でも、自賠責保険への被害者請求など対応方法があります。
そのため、保険会社から打ち切りがされた場合でも、遅くはありませんので、まずは一度交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
交通事故による慰謝料の算定基準
1 交通事故の慰謝料の決め方
慰謝料は、一般的に、被害者の傷害の部位・程度・治療経過などの事情から判断されます。
精神的苦痛を金銭的に評価するという点から一義的に金銭評価できないという特殊性がある一方で、交通事故の発生数の多さや被害者間の公平さから、慰謝料について参考となるべき一定の基準が必要になります。
以下でその基準についてご説明いたします。
2 自賠責基準
自賠責基準は、正確には、自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準といいます。
自動車損害賠償保障法で定められている自賠責保険での支給基準です。
この基準に従うと、慰謝料の額は、1日4300円(令和2年4月1日以降に発生した交通事故)あるいは、1日4200円(令和2年4月1日より前に発生した交通事故)となります。
慰謝料の対象となる日数は、被害者の傷害態様、実治療日数その他を勘案して治療期間の範囲内で決まります。
自賠責保険は、死亡による損害・後遺障害の損害を除き、治療費・通院交通費・休業損害・慰謝料も含めて120万円の範囲内という保険額の上限があります。
そのため、他の損害額との関係次第では、自賠責基準によって算出された慰謝料の金額が、そのまま支払われるとは限りませんので、注意が必要です。
3 任意保険基準
任意保険基準は、任意保険の保険会社が、各社内部で定めた独自の支給基準を指すことが多いです。
任意保険基準は、いうなれば、任意保険会社の社内基準であるため、計算方法は一義的ではなく、計算方法も明らかではありません。
しかし、一般的には、自賠責基準と同額あるいは少し多くなるように慰謝料が算出され、裁判基準より低額であることが多いようです。
4 裁判基準
裁判基準は、交通事故の慰謝料について判断された裁判例の傾向を踏まえて算出された基準です。
裁判基準は、過去の裁判例の傾向等を分析して定められたあくまで目安の基準であり、示談交渉における法的拘束力はありません。
しかし、示談交渉や裁判などの法的手続において、慰謝料額決定の参考基準として機能することが多いです。
裁判基準は、一般的に、自賠責基準や任意保険基準よりも金額が大きくなることが多いといわれています。
5 弁護士に依頼してなくても裁判基準での慰謝料が支払われるのか
自賠責のみから賠償を受ける場合を除き、示談交渉において、慰謝料の基準のうちいずれの基準が採用されるかについては、交渉次第になります。
しかし、裁判を前提にしない示談交渉の場合は、裁判基準になることはほとんどありません。
裁判を前提にしない示談交渉とは、具体的には、弁護士に依頼しないで、被害者の方が相手方任意保険会社の担当者と交渉する場合です。
また、行政書士など示談交渉権限がない資格者に依頼をしても、裁判基準での交渉ができる保証はありません。
裁判基準は、あくまで裁判例を参考にした目安額ですので、裁判を前提にした交渉をしなければ、支払われないことも少なくありません。
そのため、裁判基準での慰謝料を求める場合には、交通事故に詳しい弁護士に依頼することをおすすめします。
通院交通費について
1 通院交通費の損害賠償
交通事故の被害に遭い、治療のために病院に通院する場合の交通費は、原則として実費が損害として認められます。
ここでは、主な通院交通費について説明いたします。
2 ガソリン代
車で通院する場合は、自宅や勤務先から病院までの距離に応じて、1km当たり15円のガソリン代を認めるのが一般的です。
例えば、自宅から5km先にある医療機関まで、10日(10回)通院した場合、15円×5km×2(往復)×10日(通院回数)=1,500円となります。
3 高速料金や駐車料金
高速料金、駐車料金などについては、病院への通院のために必要があり、かつ、相当な支出といえる場合には、通院交通費として認められます。
ただし、この場合でも、領収証等の証明資料がないと支払ってもらえない可能性がありますので、支出のたびに領収証等を残しておく必要があります。
4 タクシーを利用した場合の通院交通費
タクシーでの通院は、怪我の内容・程度、交通の便等からみて、必要かつ相当といえる場合に認められます。
タクシーでの通院費用については、相手方が支払いを拒絶することも少なくないため、病院の主治医による怪我の診断書やタクシー利用の領収証を残しておくことが必須です。
5 通院以外の日常生活における交通費
下肢等に骨折等の重傷を負ったため、車の運転もままならず、通勤・通学・買い物等の日常生活においてタクシーを使った場合など、身体の不自由や安全確保のために一般に必要といえる場合は、通院以外の日常生活におけるタクシー代等も認められる可能性はあります。
ただし、この点については、他の通院手段の可否や医師の診断内容などによって、裁判例でも見解が分かれるため、一度弁護士に相談されることをおすすめします。
交通事故について弁護士に相談するタイミング
1 交通事故被害に遭われた方へ
交通事故の被害に遭われた際は、弁護士に相談することをおすすめします。
しかし、交通事故の被害に遭われた方の中には、弁護士に相談するタイミングに迷ってなかなか相談できない方もいらっしゃるかと思います。
ここでは、弁護士に相談するタイミングについて、ご説明いたします。
2 事故直後の相談
まずは、事故直後に、弁護士に相談することをおすすめします。
事故直後に弁護士に相談するべき理由は、交通事故の怪我の治療にあたって、法的に気を付けるべきことを確認するためです。
例えば、治療中の保険会社の対応について、法的な視点からアドバイスを受けておくことは有益かと思います。
交通事故による怪我の治療費は、怪我が完治するまで支払ってもらえるというわけではなく、完治する前に打ち切りをされるケースもあります。
保険会社からの不当な治療費の打ち切りを防止するために、交通事故に詳しい弁護士から、法的なアドバイスを受けておく必要があります。
3 症状固定の段階の相談
打ち切りが近づいてきたタイミングあるいは症状固定が近づいてきたタイミングでも、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に、自賠責保険への後遺障害の申請についてアドバイスを受けるためです。
後遺障害が認定されると、症状固定日以降も交通事故による症状が日常生活に影響を与えると認められ、認定された等級をもとに後遺障害慰謝料や逸失利益が算定されますので、適切な後遺障害の等級認定は重要です。
後遺障害の申請は、専門的な知識や経験が求められるので、交通事故に詳しい弁護士に相談するのがよいといわれています。
当法人は、損害保険会社の元代理人で後遺障害に詳しい弁護士が在籍しています。
また、後遺障害認定機関である損害保険料率算出機構で、約15年間、難易度の高い案件を中心に、約4000件以上の後遺障害の認定に関わってきた元職員も後遺障害の申請専任スタッフとして在籍しています。
4 示談交渉の段階での相談
示談交渉の段階では、必ず弁護士に相談してください。
相手の保険会社から提案された示談金の内容は、適切な賠償金よりも金額が低いことは珍しくありません。
そのため、弁護士に、交通事故の被害状況等を説明し、適切な賠償金額かどうかのチェックを受けることをおすすめします。
交通事故被害について弁護士に依頼するメリット
1 交通事故の被害者が弁護士に依頼するメリット
交通事故の被害者が、弁護士に依頼するメリットは、大きく4点あります。
1点目は、弁護士から、保険会社対応や治療方法についてのアドバイスを受けることができる点です。
2点目は、弁護士が、被害者の代理人として、相手方保険会社との連絡窓口となるという点です。
3点目は、治療をしても症状が残存した場合には、弁護士が被害者の依頼を受けて後遺障害の申請手続きを行うことができるという点です。
4点目は、弁護士が、相手方保険会社との間で、適正な賠償金の獲得を受け取ることができるように、示談交渉を行うという点です。
こちらでは、以上の4点について、簡単にご説明いたします。
2 保険会社対応や治療方法についてのアドバイス
慰謝料の額や適切な後遺障害等級認定のためには、保険会社対応や治療方法がポイントとなることも珍しくありません。
交通事故の被害者のなかには、事故直後の保険会社対応や治療方法の対応が不適切であったために、適切な賠償金を受け取ることができなかった方や、適正な後遺障害の等級認定を受けることができなかった方もいます。
そのため、交通事故の直後からできる限り早いタイミングで、弁護士から、保険会社対応や治療方法についてのアドバイスを受けることは、適切な賠償金の獲得や後遺障害の等級認定のために有益です。
3 相手方保険会社との連絡窓口となる
交通事故被害者の方のなかには、様々な事情から、相手方保険会社の担当者からの連絡に対応することができない方、あるいは、相手方保険会社の担当者への対応が苦手で弁護士に代わってほしいという方もいるようです。
弁護士に依頼した場合、弁護士が被害者の代理人として、被害者に代わって、相手方保険会社とのやり取りをすることができます。
4 後遺障害の申請
治療をしても症状が残存した場合、残存した症状について自賠責保険より後遺障害として等級認定がされると、認定された等級をもとに後遺障害に対する賠償金が支払われます。
適切な賠償金を受け取るためには、適正な後遺障害の等級認定を受けることが重要です。
自賠責保険に対して、後遺障害を申請する場合、加害者が加入する任意保険会社が申請書類を準備して申請する事前認定という方法と、被害者やその代理人が申請書類を準備して申請する被害者請求という方法の2通りの方法があります。
後遺障害を申請する場合には、被害者の側で資料を準備できる被害者請求の方法が望ましいといわれることが多いです。
被害者請求をする場合、その手続きが複雑であることから、弁護士に依頼することをおすすめします。
5 相手方保険会社との示談交渉
相手方保険会社が提示してくる損害賠償額(示談金)は、裁判基準(弁護士基準)よりも著しく低い金額であることが少なくありません。
交通事故に詳しい弁護士が、相手方保険会社との間で、裁判基準を参考にしながら、適切な賠償金を獲得するための示談交渉を行います。
士が、相手方保険会社との間で、裁判基準を参考にしながら、適切な賠償金を獲得するための示談交渉を行います。
6 当法人は交通事故被害者の相談は原則無料です
上記のように、交通事故被害者の方が弁護士に依頼するメリットは複数ありますので、交通事故被害に遭われた方は、弁護士にご相談ください。
当法人では、交通事故の被害に遭われた方の相談は、弁護士費用特約をご利用いただけますし、弁護士費用特約がない場合の交通事故のご相談は、原則無料で承っております。
交通事故の被害者の救済に力を入れて取り組んでおりますので、交通事故被害のご相談は、当法人にお任せください。